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中東での経験
作者 池内   
2017/01/06 Friday 10:37:12 JST

日揮株式会社(JGC) デザインエンジニアリング本部 シビル建築部

池内達宣(赤木研究室2015年度修了)

   

<駐在先:クウェート>

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クウェートは夏には最高気温50度以上、冬は0度近くにもなる寒暖差の激しい国です。実は2016年に北半球観測史上最高気温の54度を観測しました。

夏は50度以上、しかし人間の体温は約36度なので皮膚を外気から遮断したほうが少しでも暑さが和らぎます。クウェート人のイスラム教徒がカンドゥーラ(全身白の服)やアバヤ(全身白の服)を着ているのはそのためでもあるようですね。

さらに、6月から8月までが一番暑く、海の近くで湿気も多いため、10分外にいれば服が水浸しになるほどです。この期間、日中働くと、罰金が科せられる法律があるほど厳しい環境になります。

 

また、人口の半分以上は外国人で構成されていて、多くの人種、宗教の方々が生活されています。大半の方がイスラム教徒ですのでクウェート国内ではお酒や豚肉は法律で禁止されています。もちろん私たち外国人もそれに従っています。また、税金は存在せず、クウェート人は冠婚葬祭、教育費、医療費も全て無料だそうです。オイルマネー、さすがですね。

 

2015年にはモスクを狙ったテロで70名近くの方々が亡くなり、一時は外出禁止令も出ていましたが最近は大きなテロは起きていません。しかしながら、今でも安全に対する配慮はかかせません。

 

<プロジェクト内容>

クウェート国営石油会社から受注している大型石油精製工場の改造プロジェクトでプラント建設に従事しています。本プロジェクトはヨーロッパでの環境規制が厳しくなるのに合わせて、より環境負荷の少ないエネルギーを輸出するために発足したプロジェクトです。

 

<プラント建設>

プラント建設とは巨大で複雑な構造の「人」を造っているようなものです。骨(基礎)や筋肉(鉄骨)が身体を支え、神経系(制御・計装系)があり、血管や消化管(配管・電気)が身体中を流れていて各臓器(機器)に送られ、人の身体(プラント)は成り立っています。

 

<現場での仕事> 

私は所謂「骨」や「筋肉」(基礎や鉄骨)を建設しプラントを支えるため、主に設計変更や毎日出てくる問題に対応しています。また、自分の下につく人は全員が自分より経験があり年齢も上。「この若造が!」と英語で怒られながらも信頼を勝ち得ていくのに苦労しています。

 

現場の作業員は、ほとんどがインド人や中国人などで、識字率は低く、英語が話せない人がほとんどです。非常にコミュニケーションが難しいと感じていますが、図や色で彼らに指示を出しています。そんな彼らも出稼ぎに来ているため、家族の生活を守らなければなりません。彼らの仕送り無しでは家族は生活できないほど貧しい暮らしをしています。(教育の大切さを痛感します。)このPJに従事するスタッフに絶対怪我をさせないよう、何よりも安全を最優先に仕事をしています。

 

プラント建設で、問題が起きない日はありません。もちろん起きて欲しくないですが、知恵を絞って色々な方と話しながら解決していくことにやりがいを感じています。そんなところもプラント建設の醍醐味でしょうか。

 

<海外で働くということ>

駐在を始めてすぐに在クウェート大使館で大使と夕食をご一緒させていただく機会がありました。大使が「海外で働かせてもらえることに感謝しなさい」とおっしゃっていた意味を毎日考えながら生活しております。同じ日本人なら伝わるものも話し手も聞き手も第二言語を使っていると言いたいニュアンスが伝わらず、「阿吽の呼吸」も全くありません。1から10まで指示をしなければならないのです。

 

日本は資源に乏しいですが豊かに暮らせています。これは資源のある国が輸出してくれることで成り立っています。だからこそ日本人はもっと海外に出て行き、貢献すべきだと強く思っています。人種、年齢、宗教など多くの壁を乗り越える必要があると思いますが、海外で働く機会に恵まれた私たち駐在員は必ず乗り越えなければならないと思っています。

 現在クウェートのメインになっている石油精製プラントの一つは30年前に日揮が建設したもので、そのプラントから精製されたエネルギーが日本にも輸出されています。このプラント建設でクウェートから日本に対する信頼度は大きくなりました。

事実、2011年の東日本大震災のときにはクウェート政府から多くの石油を無償で提供していただきました。

現在、海外における日本のイメージを上げられるような仕事ができていること。そして今後も世界に技術力を大きく発信できるような会社で仕事ができていることを誇りに思っています。

 

<生活環境>

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食事は食べられないわけではありませんがおいしくはないです。三食エビの日もあれば、甘いスパゲティや、水分の無い肉と野菜の炒めものが出てくる日もあります。しかも、全てプラスティックの容器に入って配膳されるので、食欲があまり出ません。


しかし、その他は恵まれていて、洗濯や掃除は全て業者がやってくれますし、マネージャークラスだと車が付きます。私はバスで移動ですが笑

 

朝5時に起床して6時から仕事。仕事から帰ってくると時差の関係で日本の友人や家族とは連絡がとりづらいです。そこが最も不満ですね。仕方の無いことですが。

 

上記の通り6月から8月は暑さで屋外での仕事ができませんので、夜勤で仕事をしています。それに加えて2016年はイスラム教の断食期間であるラマダーンと重なり、仕事が終わっても外で食事ができず、レストランや売店もやっていない状況でした。お酒やタバコ、食事はもちろん、ガムや飴も禁止です。

 

休みは金曜日で、外は暑かったり寒かったりするので買い物に出かけるか、カフェや部屋で映画鑑賞や読書をして過ごしています。

 

今まで三回ほど一時帰国させていただきましたが、その度久々の日本が嬉しくて空港の税関では笑顔を堪えるのに必死です。

ビール、ラーメン、しゃぶしゃぶ。本当に素晴らしいです。

 

今まで以上に日本が好きになりました。

 

<最後に>

 私事ですが、2017年の2月から横浜の本社勤務になりますのでこれからは赤木研究室の各行事に参加できることを楽しみにしています。

 

最後まで読んでいただきありがとうございました。

 

池内達宣

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  配管を用いて製作した、何末年始の「流しそうめん」と「門松」

 
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